Welcome Back to the Ballpark
ジョシュ・ハミルトン。1999年、高校最優秀選手に選出。アマチュア球界最高のバッターでありながら、投手としても90マイル(150キロ)以上の速球を投げる。MLBのスカウトたちの視線は彼に集中し、彼の輝かしい将来は約束されていたハズだった。・・のだが。
同年のドラフト全米1位指名でタンパベイ・デビルレイズ(現レイズ)に入団。高校生野手のドラフト全米1位指名は1993年のA-Rod以来である。入団後もマイナーリーグで順調な成績を残す。・・だがメジャー昇格も目の前だった2001年、車の事故に巻き込まれたところから彼のキャリアは狂い始める。
周囲の期待の大きさがプレッシャーとなったのだろう。治療中にコカインに手を出し、ドラッグ中毒になった。ドラッグの使用はすぐに発覚し、MLBコミッショナーより出場停止処分と更生施設への入所が義務付けられた。が、一度堕ちてしまったらそうカンタンには這い上がれない。彼の素行不良は加速していったのだ。・・すでに“アマチュア球界最高のプレーヤー”の影はなかった。全身26ヶ所にタトゥーを入れ、スプリング・トレーニングもすっぽかす。何度もドラッグ検査に引っかかり、とうとう2回目の出場停止処分を受ける。彼は更生施設への入所・出所を繰り返した。・・自殺を真剣に考えるまで追い詰められていたという。
2006年に出場停止処分が解け、彼はマイナーリーグ(A級)で4年ぶりの試合復帰を果す。しかし今度は膝の故障のため、満足な成績を残すことはできなかった。辛抱強く復帰を待ち続けたデビルレイズだが、とうとうロースター枠からハミルトンを外す。・・実質上の解雇である。彼は同年オフにシカゴ・カブスに拾われ入団、その日のうちに金銭トレードでシンシナティ・レッズに移籍する。
しかし、彼はここから巻き返しを始めたのだ。2007年、オープン戦でその素質をようやく見せつけたハミルトンはベンチ入りメンバーに生き残り、開幕戦に代打で出場。・・プロ入り8年目にして遂にメジャーデビューを果したのだ。元々、実力は備えた選手である。デビューを果した4月中にいきなり6ホーマー・13打点を記録し、ナショナル・リーグ月間最優秀新人に選出。ケガなどのためフルシーズン出場はできなかったが、この年は最終的に19本塁打・47打点・打率.292という成績を残したのだ。
シーズン・オフに今度は2対1の交換トレードでテキサス・レンジャーズに移籍し、迎えた今年2008年のシーズン。・・彼は開幕から絶好調でとばし、4月・5月と2ヶ月連続で月間MVPを受賞。オールスターのファン投票ではア・リーグ外野手部門最多票を得ての初出場まで果たした。
オールスター前日に行われたビッグ・イベント、ホームランダービー。優勝したのはツインズのジャスティン・モルノーだったが、一番記憶に残った“主役”は第1ラウンドで28本の本塁打を放ったジョシュ・ハミルトンだった。
今年、テキサス・レンジャーズでフルシーズン出場を果した彼は32本塁打・130打点・打率.304の成績を残した。並居る豪傑達を押しのけ、アメリカン・リーグ打点王のタイトルを獲得。遠回りはしたがドン底からMLB有数のトップ・バッターと呼ばれる場所まで這い上がってきたのだ。・・彼が完全にドラッグを克服できたのかはわからないが、少なくとも元気な姿でここにいる。こういう男がいるから面白いのだ。・・ジョシュ・ハミルトン、まだ27歳。これからも様々なドラマを見せてくれそうな選手である。
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